イベルメクチン中毒症

イベルメクチン中毒症とはフィラリアの薬でおなじみの薬剤類に過剰反応を起こすもので、特に疥癬の治療などのように高濃度で使用すればショック症状を起こし命の危険も起こりえる病気です。ほかにも抗がん剤等反応する薬剤があります。

MDR-1遺伝子

ホワイトシェパードの遺伝性疾患について、詳しく判りやすく

こちらの京子アルシャーさんが書かれています。

ドイツ連邦共和国獣医師。保健学士。ドッグジャーナリスト。犬先進国ドイツから貴重な情報を発信する。

http://dogactually.nifty.com/blog/2008/08/mdr1-1-d178.html

 

 

 

 

MDR-1とは、

脳を毒物・薬物から守るための機能血管壁にあるマルチ・ドラッグ・レジステンス・トランスポーター(MDR-1 Transporter)といい、ここで毒物・薬物が血管壁を通り脳組織へと入り込むのをコントロールしている。

 

MDR-1 を作るためにはそれを指示する遺伝子が必要だが、この大事な遺伝子が突然変異により欠如している。

結果どうなるかと言うと

  • 運動神経障害 (筋力の低下や麻痺など)
  • コーディネーション障害 (目標と動きが一致しない)
  • オリエンテーリング失調 (うろつき)
  • 嘔吐
  • 痙攣
  • 昏睡

MDR-1 遺伝子とはその名の通り数種の薬に耐性を与える遺伝子のことですが、その遺伝子が無いとこれらの薬に反応します。

  • イベルメクチン (駆虫薬)
  • ドラメクチン (駆虫薬)
  • ロペラミド (止痢薬)
  • ディゴキシン (強心性配糖体)
  • ヴィンクリスティン (抗がん剤)
  • ヴィンブラスティン (抗がん剤)
  • ドクソルビシン (抗がん剤)
  • シクロスポリン (抗生物質・免疫抑制剤)
  • グレパフロキサシン (ニューキノロン系抗菌薬)
  • スパルフロキサシン (ニューキノロン系抗菌薬) 
  • オンダンセトロン (制吐剤)
  • キニジン (抗不整脈薬)
  • エバスティン (抗ヒスタミン剤)
  • デキサメタゾン (ステロイド系抗炎症薬)

京子アルシャーさんのブログより抜粋

イベルメクチン以外にも反応するとされる薬剤<抗菌剤・抗がん剤・免疫抑制剤・ステロイド・消化管治療薬・循環器治療薬>

メンデルの法則

最近の研究で、MDR-1は遺伝子の常染色体の劣性形質様式をもっていることがわかっています。つまり、雄雌両方とも等しく発症します。
発症犬の父犬と母犬はキャリアであるか、あるいはその親犬自身が発症しています。
キャリア犬と非キャリア犬の交配はキャリアの子孫を生み出すことになります。

メンデルの法則